労働契約を継続することが難しい社員はいます。

経営者も労働者も改善の限りも尽くしたが、もうこのままの関係を維持することが難しい場合には契約を解除するしかありません。

この会社からの一方的な意思表示による労働契約の解約を解雇と言います。
一方的というのは、労働者の意思に関わらず解約ということからです。

日本は労働者の保護が強く簡単に解雇することは出来ません。解雇する場合には、会社側は最大限できることはやった、と言えるようにしなくてはいけません。

ここでは残念ながら労働者を解雇を検討する場合に、使用者として知っておかなければならない項目につきまとめました

大前提として・・・

労働契約には期間が定まっているもの、定まっていないものと2分類出来ます。

労働契約の定めがある、つまり有期雇用契約で期間満了に伴いう労働契約が終了すること。
これは解雇と呼びません。

一般的には期間の定めがない契約か、期間途中の解約が解雇の対象です。

このうち、労働者の合意があるものは一方的な解約ではありません。よって解雇に該当しないです。

労働契約期間中で会社から一方的に解約するこういが解雇に該当します。

逆に会社は辞めさせる意思がなく、労働者が一方的に労働契約の解約をする場合は辞職と言いいます。

ここでまとめたことは解雇についてです。
では解雇を検討する場合の注意点につき確認しましょう。

解雇の正当性

解雇することは難しいと一般的に言われています。

その理由の一つに、こういうやり方で解雇手続きをすれば有効だというような具体的に明文化されていないからです。

解雇については労働契約法の第16条でこのように書かれています

『解雇は、客観的に合理的な理由を書き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。』

具体的ではなく非常に抽象的ですよね。
また有効となる、ではなく、無効となる。です。よって有効な方法は明文化されていないと言えます。

客観的に合理的な理由とは

第16条の客観的に合理的な理由とはなんでしょうか。

それは解雇の種類によってある程度決まっています。

解雇には大きく分けて次の4種類です。
一つずつ確認しましょう。

①普通解雇
②懲戒解雇
③諭旨退職
④整理解雇

一つずつ確認しましょう。

①普通解雇

就業規則に定めた解雇自由をもって行われる契約解除です。

能力不足による解雇はこれに該当します。

②懲戒解雇

懲罰的な意味合いで行われる解雇です。

著しく重大な違反をした場合に行われます。

一般的に懲戒解雇を行う場合には次の3要件を満たしておかなれいけません。

(1)懲戒事由は就業規則に列記されたものであって、就業規則の定めによる手続きをとる
(2)事前弁明の機会を適正に付与する
(3)刑事犯罪等に該当しない場合には、事前の注意や警告をすることとし、段階的に懲戒する

つまり懲戒解雇を行う場合には、就業規則にこういうケースには懲戒解雇するよって明記しないといけない、というわけです。

また懲戒事由に該当する行為を行なった場合でも、一方的に処分をするのではなく、弁明の機会を与える。つまり、労働者がその懲戒事由を行なったことにつき話をする時間を設けるといことです。

また懲戒事由に該当した場合にも、程度問題もありますが、すぐ懲戒解雇をするのではなく注意や警告をして教育するように努めることが求められています。

懲戒解雇を検討する場合には、この3点につき注意しましょう。

③諭旨退職

諭旨(ゆし)退職とは、本来であれば懲戒解雇の対象となる行為を、情状酌量の余地がある場合に、自主的に退職届を提出するように勧告する処分をいいます。

労働者からみて、懲戒解雇をされないことのメリットは例えば就業規則において退職金が支給されないなどの不利益規定などが適用対象外になることです。

諭旨退職することで一般的な退職として扱われるということですね

④整理解雇

いわゆる業績不振を起因とするリストラです。

倒産を回避するために人員を整理する解雇ですが、厳格に行わないと客観性が否定される傾向にあります。

有期雇用労働者の場合・・・

第16条の客観的に合理的な理由があるとは、労働契約期間に定めがない方が対象です。

有期雇用契約労働者の解雇規定ついて16条とは別に17条で次のように定められています。

使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない自由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

16条と17条から言えることは、雇用契約期間の定めの有無で解雇の有効性は変わるということです

有期雇用契約者の解雇を検討する場合にはやむを得ない事由があるのかどうかを検討しまししょう。

解雇に関する法規制

解雇はそもそもすることが難しいですが、労働者の状態により解雇出来ない期間が存在します。

これを解雇制限と呼びます。

以下の期間が解雇制限期間です。

①業務上の負傷または疾病による療養のために休業する期間+30日間
②産前産後の女性が労働基準法の規定によって休業する期間+30日間

この解雇制限期間はいかなる理由があっても解雇することは出来ません。

原則、この期間は解雇出来ませんがそれぞれ次のことをすれば解雇が可能です。

①打切補償(平均賃金の1,200日分を支払うこと)を行う場合
天災地変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能となった場

注意点としては、労働者の責めに帰すべき重大な過失があっても解雇制限期間中は解雇出来ません。その場合には後述する解雇予告をして解雇するための手続に移ります。

ちなみに①の負傷や疾病の理由が通勤災害や私傷病による休業期間につていは解雇制限されません。また治療中であってもそのために休業しないで出勤している場合も同様です。

解雇の手続き

もし客観的で合理的な理由があり、社会通念上相当である場合と判断し労働契約を解除する場合には然るべき手順で手続きをとる必要があります。

その手続が解雇予告です。

解雇する時は少なくとも30日前の予告が必要になります。
この予告に代えて30日分以上の平均賃金の支払いでも問題ありません。

またこれらを組み合わせる、例えば20日前に解雇予告をして10日分の予告手当を支払えば解雇予告としては適正になります。

注意点は2点です。

1つめは解雇予告の30日は暦日で計算することです。労働日ではありません。土日や祝日が休みでもその間は計算に含まれます。

労働日ベースではないということですね。

また解雇予告をした日も30日に含みません。初日不算入です。つまり翌日が1日目になります。

2つ目は解雇予告期間中に先ほど触れた解雇制限期間に該当することがあった場合には、その解雇制限期間が満了するまでは解雇することが出来ません。

例えば解雇予告5日目に、業務上による負傷した労働者が休業する場合には、その休業期間中と復帰後30日間は解雇が出来ない。ということです。

ただしこの場合に、再度解雇予告をすることは必要ありません。
休業復帰から30日間経てば解雇予告は有効になります。

解雇予告が不要な場合もある

解雇をする場合、原則は解雇予告が必須です。
ただし例外的に次のケースは予告不要で解雇出来ます。

この例外的なケースを即時解雇と言います。

即時解雇は次の2つです。

天災地変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
②労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合

①はイメージ湧くと思います。
は刑事罰に該当するような行為のみが該当すると言っても過言ではありません。それ以外は認められる可能性は低いでしょう。

即時解雇の注意点は2つあります。

1つ目が、即時解雇が有効になるためには所轄の労働基準監督署長の認定が必要だということです。

自分たちで勝手に判断出来ないということですね。

2つ目は即時解雇の労働者の責めに帰すべき事由に該当したとしても、解雇制限期間中は解雇出来ない。ということです。

なお、解雇予告をすることは制限されていませんので、懲戒事由に該当する行為を労働者がした場合には解雇予告をする、ということが必要になります。

そもそも解雇予告が不要な方

解雇をする場合には解雇予告が原則必要です。
ただし次の労働者は解雇予告は必要なく解雇ができます。

①日々雇われている人
②2ヶ月以内の期間を定めて雇用される人
③季節業務に4ヶ月以内の期間を定めて雇用される人
④試用期間中の人

ただし、上記①〜④の労働契約であっても下記の条件に該当すれば解雇予告は必要になります。

① 1ヶ月を超えて引き続き雇用される
②③所定の期間を超えて引き続き雇用される
④14日を超えて引き続き雇用される

またあくまでも解雇予告という手続が除外されるだけで、いつ何時どんな事由で解雇してもいいってわけではありません。客観的で合理的な理由があるのか、やむを得ない事由があるのか。労働契約によって判断しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

解雇をする場合には色んな策を講じて、それでもダメだって時に初めて検討しなくてはいけないということにつきご理解いただけましたでしょうか。

また判例ベースで解雇の有効性が認められる認められないとある程度は判断がつきますが、最終的に有効性を争うとなった場合には裁判所で決着をつける必要があります。

会社にとっても労働者にとってもそれは望ましいものではないでしょう。

であれば解雇はなるべく避けるということをベースに策を講じていくことも大切な考え方です。

就業規則の整備を通じ、労働者とコミュニケーションをとり、会社の考え方を伝えていく。そこに埋まらない溝があるのであれば、双方にとっての労働契約は見直す時期なんだということをトラブルなく認識し合うことが一種の目指すべきところかもしれません、

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